「今度こそ走り続ける」と決めて買ったランニングシューズが、下駄箱で静かに埃をかぶる。
そんな経験、ありませんか。私は何度もあります。
こんにちは、ハルlaboです。30代のデータアナリストで、筋トレ・ランニング・水泳を週3〜4回続けています。今は週1ランがすっかり生活の一部ですが、ここまで来るのに何度も走り出しては止まりを繰り返してきました。
2024年10月、もう一度だけ走り出してみることにしました。それまでとは、決め方を変えて。結果として、3ヶ月後にはランニングが「続く習慣」に変わっていた。なぜ今回だけ続いたのか、最初の3ヶ月を振り返ります。
過去の挫折パターンと、その逆をいく「続く仕組み」の全体像は 継続ラボはじめました と 習慣化が続かない人に共通する3つのミス にまとめました。この記事ではその実装編として、ランニングの最初の3ヶ月で何を決めたかを書きます。
続いたのは意志が強くなったからじゃない。決め方を変えただけ。
ランニングを始めた30代の私が最初に決めたこと(距離0kmから)
結論:始める前に「涼しい10月」「最短の短距離の大会」「外に出るだけ」の3つを決めた。
走り出すまでに、3つだけ決めました。走ること自体ではなく、続く環境のほうです。
① 涼しくなり始める10月にスタートする
過去にランニングを始めて挫折したとき、夏や真冬の入り方が多かった気がしています。暑い・寒いという外部要因が、続けるかどうかの足を引っ張った。
なので、今回は季節を選びました。10月の中旬、汗が引きやすくなり、走り終わりに気持ちよさが残る時期。これは小さな決定ですが、最初の数週間「外に出る心理ハードル」を下げる効果が想像以上に大きかったです。
② 最短で出られる短距離の大会を先にエントリーする
走り始めた直後に、近場で開かれる短距離の大会に申し込みました。条件は3つ——エントリーできる範囲で最短の日付、無理せず走り切れる初心者向けの軽い距離、自分の生活圏で開催されること。「速くなってからエントリー」ではなく、走れる前にゴールを置いてしまうのがポイントです。
エントリーフィーを払い、当日のスケジュールがカレンダーに入る。これだけで、「その日までに完走できる体を作る」というゴールが勝手に生まれる。やる気が切れた日でも、大会の日付がカレンダーに居続けてくれる。これが効きました。
これは 習慣化が続かない人に共通する3つのミス で書いた「ミス③ ゴールを置かずに『やる気』だけで走る」の逆実装です。ゴールが行動を引き出す、というやつです。
③ 「外に出る」だけを毎週の目標にする
距離もタイムも決めませんでした。決めたのは、「週2回、外に出ること」だけ。
5km走らなくていい。30分続けなくていい。途中で歩いてもいい。家のドアを開けて、外の空気を吸ってきたら、その日は達成。それだけです。
| 続かないパターン | 続くパターン |
|---|---|
| いきなり「週3で5km・5分半/km」 | 「週2で外に出るだけ」 |
| 大会は走れるようになってから | 走れる前に大会を予約 |
| 始めるなら春か秋(結局先送り) | 夏以外ならいつでもOK |
走るための準備ではなく、続けるための準備。最初に決めたのは、それだけでした。
最初の3ヶ月でぶつかった3つの壁——タイム・ペース・モチベ
結論:過去に止まった場所を先回りで潰したから、3ヶ月で壁の「形」が変わった。
ここで言う「3つの壁」は、今回ぶつかった壁ではなく、過去の私が毎回ぶつかってきた壁のことです。これを先に知っていたから、今回は同じ場所で止まらずに済みました。
壁① タイム——前回より遅いと、続けるのが嫌になる
以前は走った後、毎回スマホでタイムを確認していました。1kmあたり何分何秒。距離は何キロ。前回より速ければ嬉しい、遅ければ落ち込む。
ところが、走るたびに速くなり続けるわけがありません。体調・気温・前日の睡眠で、タイムは普通に落ちます。遅かった日は「走らなければよかった」とすら思った。1ヶ月もすると、靴を履く前から「今日は遅い気がする」と気が重くなり、結局走らなくなる。
タイムは続けるための情報だったはずなのに、いつの間にか続けるかどうかを判断する基準に変わっていました。これが1つ目の壁。
壁② ペース——他人と比べた瞬間に走るのが嫌になる
公園を走っていると、自分より速い人にどんどん抜かされます。30代で颯爽と走り抜けていく人を見るたび、「自分はこんなペースで走っていていいのか」という気持ちが湧いてくる。
これも過去の私を止めた壁でした。他人のペースが、自分の動機を腐らせていく。SNSで「フルマラソンサブ4」みたいな投稿を見ると、なおさら。比べる相手は本来「昨日の自分」のはずなのに、目に入るのは他人ばかりです。
壁③ モチベ——「今日はやめておこう」が一度発動すると連鎖する
3つ目はいちばん厄介な壁。やる気のグラフは、走り始めの数週間がピークで、そこから少しずつ下がっていきます。仕事で疲れた日、寒い日、雨の日、「今日はやめておこう」が一度出ると、翌週も同じ判断をしやすくなる。
継続ラボはじめました で書いた「やらなくなっていく」失敗ループは、まさにこのモチベの壁から始まっていました。
これが過去に何度も止まった3つの壁です。今回は3つの壁を知った上で、入り方を変えた。次のH2でその中身を書きます。
「距離より頻度」に切り替えて続いた理由——週1×30分の最小ルール
結論:距離もタイムも見ない。「外に出た回数」だけを成果として数えた。
3つの壁を越えるために、評価のしかたを変えました。距離やタイムではなく、「外に出た回数」だけを見る。これが「距離より頻度」です。
この考え方は 筋トレが続かない人の「最小ルール」:30分と小さな進歩で続ける と同じ枠組みで、種目をランニングに置き換えたものです。始めたばかりのフェーズは、KPIを「頻度」に固定する——ここがコアです。
実際の3ヶ月は、こんな段階で進みました。
ステージ1:「外に出るだけ」(最初の数週間)
最初の数週間は、家のドアを開けて外に出たら勝ち。家の周りを軽く流すだけの日もありました。5分歩いて2分走る日もあれば、なんとなく15分続けて気分よく帰る日もある。距離はそもそも測っていませんでした。
「走った気がしない」と思う日も、頻度のカウントには入ります。週2回、外に出た事実だけが、その週の成果でした。
ステージ2:「公園まで行く」(1ヶ月くらいから)
外に出るのが当たり前になってきた頃、目標を更新しました。目的地を、近所の有名な公園に置く。
我が家から往復でちょうど5kmくらいの公園です。「走る」ではなく「公園に行く」に目標を変えただけで、自然と片道2.5km×2の距離が積み上がっていきました。走るのが目的じゃなくて、公園に行くのが目的。
ここでも数字は記録しませんでした。スマホのGPSはオンにしていましたが、結果を見るのは月末にまとめて。走っている最中にタイムを意識しないことを、強く意識していました。
ステージ3:「気が向けば公園内を周回」(2〜3ヶ月目)
公園に通うのが当たり前になると、たまに「もう少し走りたい」気分の日が出てきます。公園にはランニングコースがあり、1周すれば追加で1km。気が向けば1周、調子がよければ2周3周してから帰る。
ここで初めて「距離」が増えていきました。でも、距離を伸ばすことが目標ではなく、気持ちのほうが先に出ていた。ノルマで増やすのではなく、自然に伸びる。これが「頻度ベース」の続きとして大事なポイントでした。
| フェーズ | KPI | やったこと |
|---|---|---|
| ステージ1(〜数週間) | 外に出た回数 | 家の周りを軽く流す |
| ステージ2(1ヶ月〜) | 公園に到達した回数 | 往復5kmが自動で積み上がる |
| ステージ3(2〜3ヶ月〜) | 公園に到達した回数 + 気が向けば周回 | 自然と距離が伸びる |
KPIは、同じ「頻度」を保ったまま、行き先だけを少しずつ更新していく。これがランニング版の最小ルールでした。
距離は気合いで伸ばすものじゃなく、頻度の副産物として勝手に伸びる。
行く気がない日の対処法と、それでも続いた仕組み
結論:「行く気が出る装置」と「行かなくていい逃げ道」の両方を、最初から用意した。
それでも、走りたくない日は必ず来ます。仕事で消耗した平日、雨の日、なんとなくダルい休日。気合いで毎週走り続けるのは無理——これが過去の挫折で得た一番大事な学びでした。
なので、今回は「やる気」に頼らない仕組みを2つ用意しました。
仕組み① 目的地を「行きたくなる場所」にする
公園を目的地に選んだ理由は、距離だけではありません。その公園が、行きたくなる装置だったから。
- 他のランナーが集まっていて、ストレッチや給水で談笑する人がいる
- 週末に色んなイベントが開かれていて、ワクワク感がある
- 木々の雰囲気が単純に好きで、走らなくても歩くだけで気持ちがいい
走るのがしんどくても、「今日は公園に行くだけ」と思えば家を出られます。公園に着いた時点で、結果として走らなくても、まあいいか、と思える。目的地そのものが、動機を補強してくれる構造でした。
これは私の好みに合った場所だったので、誰にでも当てはまるわけではありません。ただ、「好きな場所を経由するコースを作る」のは、誰でもできる工夫だと思います。
仕組み② 逃げ道を最初から用意しておく
もうひとつは、逃げ道を後ろめたさなく踏める設計にしておくこと。
- 体調が悪い日は、休んでOK(罪悪感を持たない)
- 行きはランで、帰りはバスでもOK(往復で完結させなくていい)
- 走るのがしんどければ、公園で歩いてから帰ってもOK
「休む=失敗」と捉えると、一度休んだ瞬間に 習慣化が続かない人に共通する3つのミス で書いたミス①の失敗ループに入ります。休むのは戦略の一部、と最初から決めておくと、ループに入りません。
特に効いたのが「帰りはバスでOK」ルール。「往復5km走り切らないと意味がない」と思い込むと、家を出る心理ハードルがぐっと上がります。片道だけ走って、疲れたらバスに乗って帰る。これを最初から許可していたので、「今日は片道だけにしよう」と判断して家を出られた日が、何度もありました。
結果として、続いた
仕組みを用意した上で、最後にあるのが最初に予約した大会でした。やる気が完全に切れそうな日でも、「あと◯週で大会」というカレンダーの予定が、最低限の歯止めになる。
そして大会当日。走り出す前まで0kmだった自分が、初めての大会を走り切った。
このときの「思ったより走れた」という感覚が、3ヶ月目の自信になりました。自分にも続けられるんだという実感は、その後の頻度を支える内側の動機に変わっていきます。タイムを意識し始めるのは、ここから先の話です。
| 効いた仕掛け | 具体策 |
|---|---|
| 行きたくなる場所 | 好きな公園を目的地にする |
| 逃げ道 | 休む・バス帰り・歩いて帰るを許可 |
| 戻る場所(ゴール) | 最短で出られる短距離の大会を最初に予約 |
ランニングが続いたのは、走力がついたからでも、意志が強くなったからでもありません。走り出す前に、続く環境を3つ決めただけ。涼しい季節、先にあるゴール、頻度だけのKPI。
そして、走り始めた後に、行きたくなる場所と逃げ道を持っていた。それだけです。
続けているだけで、十分すごい。
これからランニングを始めたい30代の人がいたら、最初の3ヶ月は距離もタイムも忘れて、頻度だけを数えてみてください。3ヶ月先に振り返ったとき、続いていることそのものが、いちばんの成果になっているはずです。
ランニング版の「最小ルール」を、4つの観点でさらに整理した記事も近いうちに書く予定です。距離・ペース・行く気がない日・雨の日——続けるための4つのスイッチを、それぞれ独立して使える形にまとめます。
ハルlabo

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